右質問する。

国会法第74条に定めのある国会議員が内閣に行う質問とその回答を紹介します。

「令和時代のNHKのあり方に関する質問主意書」 中谷 一馬君

 第199回国会のもう一つの目玉「NHKをぶっ壊す」でおなじみ「NHKから国民を守る党」が政党要件を満たし、議席を獲得したことから立憲民主党の中谷一馬議員がこれからのNHKはどうあるべきなのよ?と質問をしています。

 これ系の質問は立花孝志議員が真っ先にするかと思っていましたが、第199回国会では立花議員からの質問はありませんでした。

 

  「NHKから国民を守る党」が参議院議員選挙において、比例区で九十八万票を獲得。得票率二%を超え、政党要件を満たし、一議席を獲得した。
 また、石田真敏総務大臣は七月二十三日の閣議後の記者会見で、「NHKから国民を守る党」が主張する、NHK放送に暗号をかけて受信料を支払った人だけが視聴できる「スクランブル化」について「公共放送と民放の二元体制を崩しかねない」と述べ、反対の姿勢を示した。
 本件に関連して政府は令和時代のNHKのあり方をどのように考えているのか見解を確認したく、以下質問する。
一 「NHKから国民を守る党」代表の立花孝志参議院議員は、メディアの取材に対して「NHKとの『契約』は法律上の義務だからするけれども、『支払い』は別。受信料は踏み倒します。」と公言されたと報じられている。
 このNHK受信料は踏み倒すと述べている立花孝志参議院議員に対して、政府として何かしらの対応を行うのか、それとも放任するのか、所見を伺いたい。
二 立花孝志参議院議員の発言を受けて、松井一郎大阪市長が「現職国会議員の受信料未払いをNHKが認めるなら、大阪市もやめさせてもらう」との意向を表明し、これに呼応して、吉村洋文大阪府知事も記者会見で「NHKから国民を守る党の立花孝志代表は違法行為を公言している」と批判した上で「現職議員が受信料を踏み倒すと言っている。そんなことが許されるなら大阪府も払わない」と述べたと報じられている。
 このように、「公人がNHK受信料を払わないのであれば受信料の支払いを拒否する」姿勢を示している首長がいる地方自治体に対して、政府はどのように捉えているのか、また政府として何かしらの対応を行うのか、それとも放任するのか、所見を伺いたい。
三 この問題を放任すれば、NHK受信料を支払わない人がごねて得することとなり、NHK受信料を支払う人が相対的に損をする制度を容認することになると考えるが、政府としてこの問題に対してどのように対応していこうと考えているのか、所見を伺いたい。
四 石田真敏総務大臣は「NHKは災害報道や政見放送など公共放送の社会的使命を果たすことが求められる」と発言されているが、災害時の緊急報道やEテレの教育・教養番組、政見放送など公共性の高いコンテンツや社会的に必要ではあるが民間では採算が合わないコンテンツなどに関しては、受信料を大きく引き下げることを前提に広く国民にノンスクランブルで提供し、それ以外の多くのコンテンツに関しては、付加的な受信料を徴収するスクランブル化を検討することにより、民間放送事業者と公正な競争環境の下で、そのコンテンツを競い合い、付加的な受信料を払ってでも見たい優良な番組作りを進めることは、放送と通信の融合する新時代のビジネスモデルとしてあり得ると考えているのか、それとも絶対にあり得ないと考えているのか、政府の所見を伺いたい。
五 石田総務大臣は、NHK放送に暗号をかけて受信料を支払った人だけが視聴できる「スクランブル化」について「公共放送と民放の二元体制を崩しかねない」と反対の姿勢を示されているが、放送と通信の融合する新時代において、そもそも二元体制を維持するメリットや意義をどのように考え、二元体制を崩すことによるデメリットをどのように考えているのか、政府の所見を伺いたい。
六 政府は、NHKのスクランブル化に対するメリット及びデメリットをどのように分析しているのか、所見を伺いたい。
七 産経新聞が行った世論調査によれば、「NHKの地上波放送はスクランブル化を導入すべきか」という問いに対して、八十八%がYesと答え、「NHKの番組を見たいか」という問いに関しては、六十九%がNoと答えましたが、こうした国民の意識を政府はどのように捉えているのか所見伺いたい。
八 総務省の放送をめぐる諸課題検討会において示された資料では、二〇〇五年に九十八・九%であったカラーテレビの普及率は、二〇一五年には九十五・七%まで下がっている。
 また世帯主が二十九歳以下の世帯に限れば八十四・七%にまで落ち込んでおり、テレビ離れが進んでいく流れが顕著であり、この傾向は世界的にも同様である。
 そうした中、現行の放送法ではテレビの設置者のみを受信料支払の対象としているが、今後さらにスマートフォン等などテレビ以外の受信機しか持たない人の増加が予想される中、中長期的に見れば現在のビジネスモデルでNHKを維持していくことが難しくなり、時代のニーズに合わせた転換を図る必要性に迫られることは想像に容易い。
 公共放送がインターネットに進出をする時代において、その財源を誰が負担するのかという根本的な議論は避けて通れないと考えるが、テレビ離れスマートフォンファーストが進む、令和時代における受信料負担のあり方をどのように考えているのか、見直す必要があると考えているのか、政府の所見を伺いたい。
九 受信料における諸外国の例として、英国ではBBCのコンテンツを視聴しうるパソコン等も受信料の徴収対象としている。また、ドイツ、スイス、スウェーデンなどではテレビやパソコンの有無にかかわらず全ての世帯から徴収する放送負担金制度が導入されており、フランスなどでもそれらに向けた動きがあるが、これらの徴収方法を政府としてはどのように考察しているのか、所見を伺いたい。
十 受信料徴収のあり方を見直すとともに諸外国の公共放送のような広告収入や副次収入等による財源の多様化策を図ることで、国民の負担となっているNHK受信料を大幅に下げる軽減策を実行することは、現実的に可能であると考えるが如何か。政府の所見を伺いたい。
十一 ここまで縷々質問を行ったような課題に対して、国民が納得する国民目線でのガバナンス改革や経営改善を怠った結果、NHKに対して不満を持った国民による投票行動が「NHKから国民を守る党」に議席と政党要件を与えることに繋がったと考えるが、この状況を踏まえて政府は今後NHKを具体的にどのように改革し、令和時代のNHKを経営していくべきであると考えているのか、未来への展望やビジョンがあればお示し頂きたい。

 http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a199016.htm

 質問を要約すると

1 N国党がNHK受信料払わないって言ってるけど政府としてなんか対応するの?

2 大阪市がN国党がNHK受信料払わないならうちも払わないって言ってるけど政府としてなんか対応するの?

3 この問題ほっとくとごね得にならない?

4 大臣はスクランブル化は無理って言ってるけど民放っぽい内容については一部スクランブル化することって可能じゃないの?

5 NHKと民法の違いってなによ?

6 政府はスクランブル化についてどう考えてるの?

7 産経新聞のアンケートがあるけどどう思う?

8 テレビを持ってない人が増えてるけど、今後も同じような受信料のやり方でいいと思ってるの?

9 他の国の受信料の仕組みについてどう考えてるんの?

10 NHKにCM入れることってできないの?

11 N国党が議席取ったことでこっから先のNHKについてどう考えてるの?

 

回答がこちら

 一から三までについて

 放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第六十四条第一項において、日本放送協会(以下「協会」という。)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は協会と受信契約を締結する義務があることを定めており、当該受信契約を締結した者は、協会に対し、当該受信契約に基づく受信料を支払う義務がある。その上で、政府としては、これまで、同法第七十条第二項の規定に基づき協会の収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見において、受信料の公平負担の徹底に向けて、未払者対策を着実に実施すること等を求めており、こうした指摘を踏まえ、協会において適切に対応されるべきものと考えている。
四について

 お尋ねの「民間放送事業者と公正な競争環境の下で・・・放送と通信の融合する新時代のビジネスモデルとしてあり得る」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、今後とも、協会は、あまねく日本全国において受信できるように、豊かで、かつ、良い放送番組による国内基幹放送を行う等の公共放送としての社会的使命を果たしていくことが適当と考えている。
五について

 我が国の放送は、民間放送事業者が視聴者の嗜好や地域に根ざした放送の充実に努める一方、協会が四についてで述べた公共放送としての社会的使命を果たしていくことで、着実な発展をしてきたと考えており、政府としては、今後も、民間放送事業者と協会とのそれぞれの特徴が発揮される二元体制を維持するべきであると考えている。
六について

 お尋ねの「スクランブル化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、視聴の対価として料金を支払うこととすることについては、協会が、四についてで述べた公共放送としての社会的使命を果たしていくことが困難になるものと考えている。
七について

 個別の民間事業者が行った「世論調査」に関し、お答えすることは差し控えたい。なお、今後とも、協会は、四についてで述べた公共放送としての社会的使命を果たしていくことが適当と考えており、協会においては、引き続き公共放送としての役割等について国民・視聴者の理解を得るよう努めていただきたいと考えている。
八について

 御指摘の「受信料負担のあり方」については、放送をめぐる環境変化や、国民・視聴者から十分な理解が得られるかといった観点も踏まえ、中長期的に検討すべき課題であると考えている。
九及び十について

 お尋ねの諸外国の「徴収方法」や「財源の多様化策」を含めた受信料負担の在り方については、諸外国における公共放送の果たすべき役割や具体的サービス内容等に応じ、それぞれの国の実情等を踏まえつつ、国ごとに異なっていると承知している。その上で、政府としては、我が国の受信料負担の在り方について、八についてで述べたとおり、中長期的に検討すべき課題であると考えている。
十一について

 政府としては、協会の在り方について、放送法第七十条第二項の規定に基づき協会の令和元年度の収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣意見においても、「業務」・「受信料」・「ガバナンス」の三位一体で改革を進める検討を実施することを求めており、今後とも、協会の取組や放送をめぐる環境変化を踏まえ、必要な指摘を行っていく考えである。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b199016.htm

回答を要約すると

1~3 法律で契約するって書いてあるし契約したら払わないといけないでしょ、払わない人にはちゃんとやることやるよ。

4 具体的にどうやるのかわからんけど、NHKは日本全国どこでも素晴らしい内容の番組が見られるよう頑張っているよ。

5 さっきも言ったけど、NHKは日本全国どこでも素晴らしい内容の番組が見られるようやってるから民放とは違うよ。

6 スクランブル化したら日本全国どこでも素晴らしい内容の番組が見られるようにならないから難しいよ。

7 民間の調査にどーこーいうことはしないよ。

8 受信料をどうしていくかは今後の課題と考えているよ。

9、10 よその国はよその国、日本は日本。

11 NHKにはこれからもきちんと指摘をしていくよ。

 

「受信料は払わなくていいし、スクランブル化もできます。」なんて答弁するわけないので、まあ妥当な回答でしょう。